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森永真央特任助教が2025年日本物理学会若手奨励賞を受賞

森永真央

日本物理学会は、将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、学会をより活性化するため、日本物理学会若手奨励賞 (Young Scientist Award of the Physical Society of Japan) を2007年より制定しました。
このたび、本センターの森永真央 特任助教は、“ATLAS検出器における消失飛跡信号を用いたチャージーノの探索”の研究が評価され、第19回(2025年)日本物理学会若手奨励賞を受賞しました。
先日開催された日本物理学会2025年春季大会では、受賞式ならびに受賞講演が行なわれました。

受賞論文

ATLAS検出器における消失飛跡信号を用いたチャージーノの探索
Search for long-lived charginos based on a disappearing-track signature using 136 fb-1 of pp collisions at s = 13 TeV with the ATLAS detector
https://doi.org/10.48550/arXiv.2201.02472

受賞理由

本論文の目的は、ATLAS検出器によって収集されたデータを用いた長寿命の“チャージーノ”の探索です。チャージーノは、標準模型を超える超対称性理論(SUSY)で予測されている粒子で、崩壊前の短い軌跡と大きな運動量欠損が主な特徴となります。標準のトラッキングでは短い軌跡の再構成ができないため、この解析に特化した別のトラッキングが必要です。
本論文では、チャージーノの生成プロセスとして電弱相互作用による直接生成とグルイーノの崩壊を経由する生成の2つのプロセスを仮定し、消失飛跡(Disappearing Track)を手がかりにチャージーノの存在を調べました。チャージーノは短い飛跡を残した後、ニュートラリーノへ崩壊することが予想されるため、トラッキングの情報のみを用いた飛跡の突然の消失(消失飛跡) を識別する手法を採用しました。短い飛跡の再構成手法を適用し、カロリメータ情報を用いた背景事象を除去しました。さらに、前回の同様の探索に比べ約4倍のデータを使用し、解析に改良を加えたことで統計的精度を有意に向上させました。
森永特任助教は、短い軌跡の再構成と、カロリメータ情報を使った背景事象の除去、統計処理に重要な貢献を果たし、本受賞に繋がりました。
チャージーノの存在が確認されるには至らなかったものの、新たな質量・寿命の除外領域を設定し、SUSYモデルの制約を強化しました。本研究の手法は、今後の長寿命粒子探索の解析にも応用可能であり、新物理発見の可能性を広げる重要な成果となりました。本研究は、ATLAS実験における長寿命粒子探索の手法を革新し、超対称性理論の検証に大きく貢献するものです。

関連リンク

第19回(2025年)日本物理学会若手奨励賞受賞者一覧

Search for long-lived charginos based on a disappearing-track signature using 136 fb-1 of pp collisions at s = 13 TeV with the ATLAS detector (受賞論文)