石野研究室 青木匠氏が日本物理学会2024年秋季大会学生優秀発表賞を受賞
毎年秋に開催されている日本物理学会では、大会における若手(正会員のうちの大学院生または学生会員)の優秀な発表を奨励し大会をより活性化するため、「学生優秀発表賞(素粒子実験領域)」が2020年度より設けられました。
本センターでは、各研究室所属の修士課程・博士課程の大学院生20名以上が毎回参加し、ATLAS実験・MEG実験・ILC実験・量子AI等での最新の研究成果をプレゼン資料に纏めて、素粒子実験領域の全研究者の前で発表しています。
このたび、石野研究室博士課程3年の青木匠氏は、スイス・欧州原子核研究機構(CERN)におけるLHC Run2実験で取得した実験データの解析結果を発表し、学生優秀発表賞を受賞しました。
対象発表
ミューオンg-2アノマリーに基づいたLHC-ATLAS実験におけるスレプトン探索 発表資料
受賞理由
本研究はミューオンg-2アノマリーに動機づけられた超対称性モデルの探索をLHC-ATLAS実験のデータを用いて行なうものです。ミューオンg-2アノマリーを説明しうる超対称性モデルを精査することにより、従来解析が良い感度を持たない超対称性モデル(左巻きスレプトン、ビーノ、ヒグシーノの順に軽くなる質量階層)が存在することを明らかにしました。 この超対称性モデルに対して最適化した事象選別を定義し、主要な背景事象に対する推定方法を開発しました。特に3つのレプトンが全て同じ符号の電荷を持つ信号領域はLHC実験において初めて見る興味深い領域であると共に、非常に背景事象が少ないクリーンな領域に仕上げることができました。
近年注目されているミューオンg-2アノマリーを説明しうる新たな超対称性モデルをターゲットとしていることや、今まで探索できていなかった領域にまで感度を伸ばすことが可能になった探索手法が注目を集めたのだと考えています。
感想と今後の抱負
まず共同研究者である石野教授、奥村准教授、陳准教授(京都大学理学研究科)に本研究へのご協力を感謝申し上げます。またこのような賞を頂けたこと大変嬉しく思います。従来ターゲットにされてこなかった超対称性モデルや今まで誰も見たことがない領域を対象に研究を進められていることに大変魅力を感じています。今回の発表は最終結果公表前の感度推定であるため、これから結果をまとめ論文を発表いたします。最終結果発表をお楽しみにお待ちください。
関連リンク
日本物理学会学生優秀発表賞(関連サイト)