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野辺助教の第17回日本物理学会若手奨励賞受賞に寄せて
宇宙を支配する暗黒物質が何なのか? 多くの素粒子研究者が、超対称性粒子が暗黒物質であり、ニュートラリーノだと考えています。このニュートラリーノが、光子、Z粒子、ヒッグス粒子のどの成分が多いかはモデルに依存するため分かりません。モデルにあまり依存しない点は、ニュートラリーノがZボソンに結合するだろうと言う点です。
野辺さんはZボソンを効率よく検出する方法を開発し、これまでLHC加速器で2040年頃に到達可能であろうと考えられていた感度で、2020年に探索を行ないました。歴史を“20年早めた”男です。Z粒子が高い運動量で放出されると独特の構造を作るだろうと言う物理的な直感と、それを選び出す細かなプログラミング技術が可能にした研究です。このことが評価され、日本物理学会若手奨励賞を授与されました。
残念ながらニュートラリーノはまだ見つかっていませんが、これからより質量スペクトラムが縮退した場合を探っていきます。野辺さんは今年度より特任助教から助教になり、現地ジュネーブで日本の研究者を束ねて、超対称性ばかりでなく様々な研究を推進しています。毎日新しいアイデアを試す充実した日々を送っています。
(文責:素粒子物理国際研究センター長 浅井 祥仁)