浅井研究室 水原慎一氏が第45回量子情報技術研究会(QIT45)学生発表賞を受賞
情報科学と量子力学を融合させた新しい分野や量子情報科学に関する「量子情報技術研究会」は、情報を担う物理系の量子力学的側面を積極的に活かした新しい情報処理原理の研究と、そこから開かれる新しい学問体系の構築および新しい情報技術パラダイムの創生を目指して、情報科学、物理学、光エレクトロニクスを含む理学、工学、数理科学に携わる研究者間に自由な討論の場を提供し、この研究分野の発展を図ることを目的に開催されています。また、本研究会では筆頭著者として講演(口頭、ポスター)を行なった学生を審査し、優秀者を表彰しています。
このたび、浅井研究室修士課程2年の水原慎一氏は、2021年11月30日(火)~12月1日(水)に開催された第45回研究会で量子計算による最適化問題に関する発表を行ない、その卓越した研究成果が評価され、学生発表賞を受賞することができました。
対象発表
整数変数・整数係数多項式関数への勾配推定量子アルゴリズムについての研究 発表資料
受賞理由
量子計算の最適化問題への適用例として関数の勾配の効率的な推定を可能とする、量子アルゴリズムが既に考案されています。本研究では、量子状態の位相の対称性を利用した新しい手法により、幾つかの仮定のもと関数の勾配が効率的に推定可能であることを示しました。また考案した量子アルゴリズムをIBMの量子コンピュータを使用して実験的に検証を行ないました。
受賞に繋がった理由は、微小量を仮定し近似する通常の微分と異なったシンプルでありつつもユニークなアイデアに基づく点と、実際に量子計算機によって考案したアルゴリズムを部分的に検証した点、そして発表のわかりやすさなどが評価されたものと考えております。
感想
修士一年の終わり頃から自身の研究テーマを量子計算関連に転向した私にとって、研究に割く時間は無駄にできないものでした。基礎的な量子力学と一定程度の専門知識を獲得することで研究のスタートが可能な量子計算の分野は、私にはうってつけであると同時に知的好奇心を刺激する開拓しがいのある未知の領域として目に映りました。
結果として、このような賞をいただけて非常に光栄で嬉しく思いますし、今後の活動に向けた大きな励みになります。最後に、これまで指導教官である浅井センター長と飯山助教をはじめ、ICEPPの多くの先生方よりご支援ご協力を賜りました。ここに深く感謝いたします。
関連リンク
●第45回量子情報技術研究会 (QIT45) (関連サイト)