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森研究室 小川真治氏がFlavor Physics Workshop(FPW2020)ベストトーク賞を受賞

Flavor Physics Workshopは、2008年にB Workshopとして行なわれていた研究会を、B物理からTau, Muon, Kaon, Charm等のフレーバー物理全般へと領域を広げ、学生や若手研究者が当該分野の理論・実験両方の最新動向を学べるように毎年開催されています。また、2009年以降は優秀な学生発表者をベストトーク賞・ポスター賞として表彰しています(2020年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となったため、ベストトーク賞のみ世話人で選定)。
このたび、森研究室博士課程3年の小川真治氏は、スイス・ポールシェラー研究所(PSI)でのMEG II実験にむけた液体キセノンガンマ線検出器の開発について発表を行ない、その卓越した成果内容が評価され、ベストトーク賞を受賞することができました。

小川真治

対象発表

MEG II実験にむけた液体キセノンガンマ線検出器の開発 発表資料

受賞理由

MEG II実験ではミュー粒子が陽電子とガンマ線に崩壊する"μ→eγ崩壊"を世界最高感度で探索することを目指しています。崩壊により発生したガンマ線を精密に測る液体キセノンガンマ線検出器は、MEG II実験成功の鍵です。
本研究では、真空紫外光に感度のある光センサー(VUV-MPPC)を新たに開発し導入することで、検出器性能を大幅に向上できることを示しました。また、この新型光センサーの性能が放射線損傷によって、徐々に劣化するという現象を新たに発見しました。この損傷はアニーリングという操作およびビーム強度の適切な調整によって対処可能であることを示しました。

感想と今後の抱負

本研究は修士課程の頃より進めてきた成果であり、それが評価されたことを大変うれしく思います。一つの研究テーマを長期にわたって続けてこられたのは、指導教員の森教授をはじめ、ICEPP・MEG II実験の皆様のご指導・ご支援の賜物であり、深く感謝しております。今後も、さらなる高感度で新物理を探索するため、高強度ビームを活用した精密測定を中心に、自分ができる貢献をしていく所存です。

関連リンク

●Flavor Physics Workshop(FPW2020)(関連サイト)