センター長挨拶

イメージ センター長挨拶

素粒子・宇宙からの宿題に素粒子物理学で答え、
人類の知に貢献したい

東京大学素粒子物理国際研究センター長 石野雅也

宇宙はどのようにその姿を変えてきたのか? 物質を構成する基本要素は何なのか?

人類の多くが考えたことのある問いに正面から向き合い、最先端の技術と無限のアイデアを総動員して解明しようとするのが、素粒子物理学です。ICEPPの基幹プロジェクトであるLHC-ATLAS実験では、周長27kmの加速器を使い、世界中から集まる3,000人の仲間と共同研究を行なっており、典型的な大規模サイエンスのひとつに数えられますが、最先端のサイエンスを切り拓くための必然的な発展形であると思います。

2012年にCERNで発見したヒッグス粒子は、この宇宙の真空に関するサイエンスの扉を開け、まさに宇宙の進化・発展の姿についての理解を深め、新たな疑問も多く出ています。これが学問の進歩であり、今後もこのようなアウトプットを出し続けて、人類の知へ貢献したいと考えます。

ICEPPは量子コンピュータと量子センサーの応用研究にも取り組んでいます。大きな可能性を持つ量子技術ですが、量子現象そのものである素粒子のふるまいを表現するという応用例や量子センサーを使った新しい素粒子実験の開発研究など、これらを通じて量子コンピュータや技術の発展に貢献することを目指しています。

物理学の本質は、一見異なるように見える複数の事象に宿る本質的な部分を見極めることで、それらを統一的に理解する学問です。この基本的な概念を軸に研究を進め、素粒子・宇宙からの宿題に答えていきたいと思います。

そして、そのために我々が開発する広い意味での技術とあわせて、人類の知に大きく貢献していくこと、それらを世界的な規模で実現できる人材を次々と送り出すことで、ICEPPの価値を更に高めていく所存です。