沿革

素粒子物理学の発展とともに、世界とともに。

本センターは、国内外の研究機関とともに素粒子物理学の国際共同実験を行ない、さまざまな成果をあげてきました。現在取り組んでいる主なプロジェクトは、ATLAS実験、MEG実験、ILC計画の3つの実験・計画です。
その国際的な活動の歴史は、1974年にまで遡ることができます。本センターの前身である理学部附属高エネルギー物理学実験施設が設立されて以来、40年以上の長きにわたって研究の卓越性を追求し続けています。その後、世界最高エネルギーの加速器を用いた国際共同実験を展開するため、4度の改組を経て現在に至ります。1994年には理学部を離れて大学直轄の全国共同利用センターとなり、2010年には文部科学省から「共同利用・共同研究拠点」の認定(2016年より認定更新)を受け、国内外の研究機関・研究者との連携をなおいっそう強めています。

全体 DESY(ドイツ)での
共同実験
CERN(スイス)での共同実験 PSI(スイス)での
共同実験
ILC計画
1972(昭和47)

共同実験DASP・JADE

電子・陽電子衝突コライダー
DORIS建設中のDESYに国際共同研究を日本側から提案

1973(昭和48)

国際共同実験を正式に発足

1974(昭和49)

理学部附属高エネルギー物理学実験施設設置
初代施設長
小柴昌俊

■ DASP実験

1975(昭和50)

エネルギーを増強した電子・陽電子衝突コライダーPETRA建設を開始

Pcの発見

1976(昭和51)

JADE実験を提案

1977(昭和52)

理学部附属素粒子物理学国際協力施設へ改組
施設長 小柴昌俊

PETRA、JADEの完成

1979(昭和54)

■ JADE実験

グルーオンの発見

1981(昭和56)

LEPでの国際共同実験OPAL

電子・陽電子衝突コライダーLEP建設決定

1982(昭和57)

OPAL実験を日本側が提案、承認

1983(昭和58)

LEP建設開始

1984(昭和59)

理学部附属素粒子物理国際センターへ改組
センター長
小柴昌俊

OPAL建設開始

リニアコライダー開発研究

日本でのリニアコライダー開発研究開始

1986(昭和61)
1987(昭和62)

第2代センター長
有馬朗人

日米協力によるリニアコライダー研究開始

1988(昭和63)

CERNと学術交流協定書(全学)を締結

1989(平成元)

第3代センター長
山本祐靖

LEP-OPAL完成

■ LEP-OPAL実験

素粒子の世代を決定

1990(平成2)

Z粒子の精密測定

1991(平成3)

標準理論の精密検証

LHCでの国際共同実験ATLAS 準備期

CERN理事会で陽子・陽子衝突コライダーLHC計画が承認

1992(平成4)

第4代センター長
折戸周治

トップクォーク質量の予言

ATLASグループ発足

ATLAS実験計画書を提出

12月 JLC-Iレポート(JLC計画の概要に関する英文報告書)を出版

1993(平成5)

大統一理論を示唆

LHC委員会でATLAS実験の承認

1994(平成6)

素粒子物理国際研究センターへ改組

文部省の全国共同利用施設に認定

LHC建設決定

ATLAS日本グループ発足

1995(平成7)

LEPがエネルギーを増強

■ LEP II-OPAL実験

文部省がLHC加速器建設協力を発表

国際共同実験MEG 準備期

構想開始

1996(平成8)

W粒子の精密測定

ATLAS実験をCERNが正式承認

ATLAS測定器建設開始

1997(平成9)

標準理論の精密検証

2月 ACFAが日本主導によるILC計画推進を声明

1998(平成10)

ヒッグス粒子の探索

7月 WWS (Worldwide Study of the Physics and Detectors for Linear Collider)による欧・米・アジアの国際協力開始

1999(平成11)

超対称性粒子等の新粒子の探索

MEG実験計画書を提出、承認

2000(平成12)

第5代センター長
駒宮幸男

LEP運転終了

2001(平成13)

センター内にLHC実験データ解析部門を設置

データ解析継続

2002(平成14)

7月 ICFAのもとに国際リニアコライダー運営委員会(ILCSC)発足

2003(平成15)

PSIと学術交流協定書(センター)を締結

2004(平成16)

国立大学の法人化素粒子物理国際研究センターを再組織

測定器開発・テスト終了、建設開始

8月 次期リニアコライダーの技術として、ICFAが超伝導技術を採択

2005(平成17)

CERNとLHC実験コンピューティングに関する覚書(全学)を締結

ミュー粒子ビームによる段階的テスト開始

8月 GDE(国際共同設計チーム)発足

12月 BCD (Baseline Configuration Document)完成

2007(平成19)

本センターのATLAS地域解析センター計算機システム稼動開始

2008(平成20)

LHCでの国際共同実験ATLAS 展開期

■ RunⅠ 実験

LHC完成

9月 稼働開始、故障により運転停止、修理開始

国際共同実験MEG 展開期

■ MEG実験

2009(平成21)

11月 LHC再稼働

2010(平成22)

文部科学省より共同利用・共同研究拠点に認定(6年)

3月 LHC7TeVの衝突実験開始

2012(平成24)

4月 LHC8TeVの衝突実験開始

7月4日 ヒッグス粒子と見られる新粒子発見を発表

12月 アップグレード計画MEG II実験提案書をPSIに提出

12月 加速器 TDR(技術設計報告書)、測定器 DBD(詳細ベースライン設計報告書)完成

2013(平成25)

2月 LHC第1期運転終了

3月14日 新粒子をヒッグス粒子と確定

LHCアップグレード

(エネルギー増強のため運転停止・メンテナンス)

1月 アップグレード計画 が承認

3月 μ→eγ崩壊を世界最高感度で探索成功(理論に厳しい制限を与える)

8月 デ-タ収集終了

2月 新組織LCC(リニアコライダー・コラボレーション)、LCB(リニアコライダー・ボード)発足

6月 TDR(技術設計書)、DBD(検出器詳細基礎設計書) を刊行

2014(平成26)

MEG II実験測定器開発

7月 ICFAがILC計画の支持を改めて表明

2015(平成27)

■ Run II 実験

6月 LHC13TeVの衝突実験再開

MEG II実験測定器建設

2016(平成28)

文部科学省より共同利用・共同研究拠点に再認定(6年)

4月 東京大学CERN-LHC研究拠点を構築

1月 ETHZと戦略的パートナーシップ協定(全学)を締結

3月 MEG実験の最終結果を発表
μ→eγ崩壊は2.4兆に1回未満

2017(平成29)

第6代センター長
浅井祥仁

4月 ディープラーニング応用解析班を組織

CERNと円形加速器を用いた将来計画のFCC研究に関する覚書(部局)を締結

MEG II実験測定器の建設がほぼ終了、コミッショニング開始

1月 第2期LCC(リニアコライダー・コラボレーション)、LCB(リニアコライダー・ボード)発足

11月 ICFAが250GeVのILC加速器建設を支持しILC早期実現を奨励

2018(平成30)

7月 CERN openlabに加入

6月4日 トップクォークの質量起源もヒッグス機構と判明
8月28日 ヒッグス粒子とボトムクォークの結合を初観測

12月 LHC第2期運転終了

MEG II実験測定器が完成、全測定器を用いたミューオンビーム試験開始

2019(平成31/令和1)

12月 マイクロ・ナノ多機能デバイス連携研究機構(学内)に参画

LHCアップグレード

3月 ICFA/LCB&FALC Meetingを本学で開催

2020(令和2)

7月 Beyond AI 研究推進機構(学内)に参画

9月 CERN Quantum Technology Initiative(QTI)の立ち上げと主要な参加機関に加入

新たな解析手法(multi-bin探索、機械学習)を導入し探索感度を向上

エンジニアリングラン開始

10月28日 高エネルギー物理学研究者会議ILC推進パネル(ILC Steering Panel)発足

2021(令和3)

4月 センター規則を改正、量子AIテクノロジー研究分野を新設

4月 量子ネイティブ育成センターを発足

8月 IBM Quantum-東京大学コラボレーションセンターが完成

ヒッグス粒子と第2世代のレプトン(ミューオン)との湯川結合を示唆する解析結果を得る


測定器システムの増強(Level-1ミューオントリガーシステム、LArカロリメーターエレクトロニクスの改良)

各測定器の最終調整作業、ビームタイム後半に試験的な物理データを取得

2022(令和4)

文部科学省より共同利用・共同研究拠点に再認定(6年)

■ Run Ⅲ 実験

4月22日 LHC加速器が再稼働

7月5日 LHC加速器が世界初13.6TeVの衝突エネルギーを記録

■ MEG II実験

7月14日 MEG II実験が本格始動

4月17日 高エネルギー物理学研究者会議ILC推進パネルの活動が終了

2023(令和5)
2024(令和6)

第7代センター長
石野雅也

2025(令和7)
2026(令和8)