素粒子物理国際研究センターを選んだ理由は?
高校生の頃から素粒子分野に興味があり、世界最大の加速器であるLHCに対する憧れがありました。大学に入学してからは、学部3年生の授業で論理回路を組む実験が楽しかったこと、学部4年生の時に読んだ自発的対称性の破れの論文が面白かったことから、ヒッグス粒子を発見したATLAS実験への参加を目指すようになりました。また苦手な英語を使わざるをえない環境にあえて我が身を置くという意味でも、国際実験への参加は魅力的な選択でした。
実際に入ってみてどうでしたか?
普段の様子から察するに多忙を極めているであろう教授と准教授が、二人がかりでATLAS検出器の基礎的な事項について長い時間をかけて丁寧に説明してくださり、その贅沢さに驚きました。研究室の雰囲気は暖かで、研究に行き詰まった時は、先生や先輩に随時、相談を持ちかけています。また、私の同期は半分が女性だったので、同性の仲間がいる環境は心強く感じられました。
学部生のころと比べて変わったと思う点は?
学部では素粒子理論の研究室にいました。理論分野では研究の最先端に到達するまでに修得すべきことが多く時間がかかるため、先人の研究を理解する勉強が主でした。一方、大学院に入学してからは、参加する検出器の基礎的な事項の指導を数ヶ月かけて丁寧にしていただいた直後から、すぐに研究の最前線に参加できました。大規模実験のため、他の研究者の方々との連携が重要なポイントになります。現在は検出器データベースの作成を主な研究課題としており、海外の研究者を含む多くの方にコンタクトをとりながら研究を進めています。
研究の楽しさと大変さは?
データベースやプログラムを自ら設計し、作っていく過程と、必要に応じて様々なツールを習得できることが楽しいです。大きなシステムの一部として求められる機能は決まっていても、その実現方法には無限の可能性があります。この先10年以上使われるものを開発しており、より良いシステムにすることが後続の方のためにもなることから、責任感と誇りを持って開発研究を行なっています。大変だったのは、自分の研究内容を他の研究者に伝えることでした。抽象的な内容をわかりやすく筋道を立てて相手に伝えるのが難しかったです。
大学院の生活はどんな感じですか?
私の研究対象は電子回路の現物ではなく、それらを含んだシステム全体を包括するデータベースの構築のため、これを取り扱う作業はパソコン上で完結します。そのため、自宅でも研究を進めています。定期的に研究室内のミーティングで研究の進捗状況を発表し、また、同じ検出器を扱う他大学の方々ともミーティングを通じて最新の状況を報告しあっています。また、修士1年の時には学部生の実験のTAを週2回担当していました。
将来は?
博士の学位取得後も素粒子実験に関わり続けたいと考えています。海外の研究機関で研究職に就く可能性を広げるためにも、国際共同実験であるATLAS実験を選びました。
素粒子物理国際研究センターを目指す学部生にひと言!
素粒子物理研究をするにあたり、恵まれた環境が揃っています。私は大学院に入学する前はFORTRANしか扱えませんでしたが、研究を進める上での必要性からPython、SQL、VHDLといった多くのプログラミング言語を習得できました。新しい技術を身につける機会が豊富にあります。また先生や先輩から、最初の手ほどきをしてもらったおかげで、スムーズに研究を進められました。研究室でお会いできる日を楽しみにしています。
-
牧田 藍瑠Airu Makita石野研究室 修士課程2年
-
馬越 隆成Ryusei Umakoshi大谷研究室 修士課程2年
-
近藤 翔太Kondo Shota奥村研究室 修士課程2年
-
中園 寛Kan Nakazono澤田研究室 修士課程2年
-
渡邉 香凜Karin Watanabe寺師研究室 修士課程2年
-
林 雄一郎Yuichiro Hayashi奥村研究室 博士課程3年
-
長坂 錬Ren Nagasaka奥村研究室 博士課程1年
-
上曽山 健介Kensuke Kamisoyama寺師研究室 博士課程1年
-
河井 力Chikara Kawai田中研究室 修士課程2年
-
青木 匠Takumi Aoki石野研究室 博士課程3年
-
山本 健介Kensuke Yamamoto森研究室 博士課程3年
-
山下 恵理香Erika Yamashita奥村研究室 博士課程2年
-
松下 彩華Ayaka Matsushita大谷研究室 博士課程2年
-
藏 嘉琦Jiaqi Zang田中研究室 博士課程3年
-
古川 真林Marin Furukawa田中研究室 博士課程2年
-
田中 碧人Aoto Tanaka石野研究室 博士課程3年
-
杉崎 海斗Kaito Sugizaki奥村研究室 博士課程3年
-
張 元豪Wonho Jang澤田研究室 博士課程3年
-
米本 拓Taku Yonemoto森研究室 博士課程3年